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2005年5月29日 (日)

ノビル(その奇抜な花の形と繁殖方法)

nobiru ユリ科ネギ属には、ネギ・ニラ・ワケギ・ニンニク・ラッキョウ・タマネギなど野菜化されたもののほかに、野生のアサツキ・ヤマラッキョウ・ギョウジャニンニクなどが山菜として珍重されているが、中でもノビルは、古事記に応神天皇の御製として、「いざ子ども、野蒜摘みに、蒜摘みに・・・」と言う歌が記載されるほど古典的な野草で、葉が柔らかい早春の頃に、白い根茎と共に掘りあげて、ワケギと同様にヌタにして食べると実に美味しいし、生のまま味噌を塗って齧るのも乙なもので、都会でも容易に入手できろ山菜の中では、極めつけの一品と言って差し支えあるまい。

このノビルは、花と繁殖方法が奇抜なことでも知られている。

晩春の頃、1株から1本の花茎がするすると伸び出して、頂上に球形の花序(花の集団)を膨らませる。始めはアヒルの嘴のような形で、膜に包まれており、膜がとれて蕾が全部開くとネギ坊主のようになるが、淡紅紫色の花になるよりも、蕾が変身して小芽球(ムカゴ)に変わるものが圧倒的に多く、中には写真で見る通り、茎頂についたままで発芽するものもある。そのユニークな形を見てやっていただきたい。

花茎が枯れると、そのまま下に落ちて、その場に住み着くので、畑の畦などで大群落を形成している事が多い。 ノビルは花ー受粉ー結実ー散布の全行程を省略しながらも、確実に子孫を残す強かな省エネ植物なのである。

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