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2005年5月29日 (日)

ウワミズザクラ(サクラに似ていないサクラの木)

uwamizuzakura 緑の葉を繁らせた枝の先端に、総状花序(穂状)の白い花をつけているこの木を見て、バラ科サクラ属のれっきとしたサクラだと言われても、クビを傾げる人が多いのではないだろうか。繁みの中でこの花に出合うと、線香花火の白い火花が四方八方に飛び散っているような印象を受ける。 

ウワミズザクラと言う名も奇異に感じる。別名を「ハハカ=波波迦(朱桜)」と言い、この材の上面に溝を彫り、火に投じてできる亀裂の模様を見て吉凶を占う「亀甲占い」に似た神事に使ったので、はじめは「ウワミゾザクラ」と呼んだのが訛って「ウワミズザクラ」になったと言う。やや「眉唾」に聞こえるが、この神事は対馬列島でつい最近まで行われていたらしい。

古事記には高天原に生える植物として、「天の日影=ヒカゲノカズラ」・「天の真析=マサキ」と共に「天の朱桜=ハハカ(ウワミズザクラ)」の記載がある。

材が極めて硬いので金剛桜とも言い、浮世絵の版木として珍重されたらしい。秋には赤くて可愛い実をつけるので、欧米では Japanese Bird Cherry と言うすっきりした判り易い名前で呼ばれ、公園樹として植えられることが多いと聞く。青い実の果実酒「杏仁酒」は不老長寿の妙薬だとされていて、西遊記の三蔵法師が旅の途中で、この実を捜したと言う伝説があるらしいが、悟り済ました筈の高僧が不老長寿を求めて右往左往する話の方が、余程「眉唾」に思われる。

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