2009年9月17日 (木)

ガマズミ(納得できない名前の由来)

Photo 六甲山のガマズミの実が色付き始めた。日本全国の里山に分布し、用途も広い木なので、親しまれ、各地で思い思いに名付けられたらしく、たくさんの異名を持っているが、さてその由来はというと正規の名ガマズミからして、納得できる説がない。

まして古名のヘミ・ヘキミ、異名のヨソゾメ・ヨウゾ・ヨツズミ・ソゾメ・ソネに至っては見当もつかないが、「カマ」「ガマ」と「スミ」「ズミ」を分けて見ると、どうにか筋道が見えてくるように思える。

「カマ」「ガマ」に2説あり

① 材が固いので鎌の柄として重用された

② 中国名の夾迷(キョウメイ)が訛って、「カメ」から「ガマ」になった

「スミ」「ズミ」にも3説がある。

③ 実を赤色の染料としたので「染め=ソメ」と言う

④ 実が酸っぱいので「酢味=スミ」と言う

⑤ 山で薪を縛る藤蔓などをソネと言うが、ガマズミもソネに使われたので「ソネ」が「ゾメ」「ズミ」に転訛された

①②と③~⑤の組み合わせで名付けられた言うのだが、今一つ納得性に欠ける。

前川文夫博士の説に魅かれている。語源は「神っ実」で、山を駆け巡ったマタギが、この実を食べて狩猟の疲れを癒し「山の神の贈り物」と言い伝えてきたという。 事実、東北地方では果実酒が成人病の予防に効果があるとして、見直されているらしい。「神っ実=ガマズミ」の筋道はちょっと苦しいが、ロマンがあって面白い。

しかし、個人的な思いだけで決めるべき問題ではないので、各説を併記させて頂くことにした。

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2009年8月17日 (月)

ユキミバナ(真夏なのに雪見花)

Photo 1993年に認定されたピカピカの新種で福井県(若狭地区)・滋賀県(湖北の一部)のごく限られた地域に分布し、福井県若狭町の熊野神社境内に群落があると聞いておりましたので、是非共現地を訪ねたいと思っていましたが、数年前に京都植物園で栽培されているのを見つけ、この後は、毎年の開花を楽しみにしております。

長くスズムシバナの矮生種と誤認されていたようで、両者はよく似ていますが

①常緑である

②茎が匍匐する

③花茎に開出毛がある

点で、区分できるといいます。 植物園と野草にも適性の有無があるようで、同じ地域限定のキクガラクサの方はなかなか定住できないのに、ユキミバナとの相性はよいらしく、数か所に群落が広がったので、まずは一安心と思っております。

この写真は8月3日に撮影しました。「真夏なのに雪見花」とは判じもののようですが、花期が長くて、夏(京都植物園では6月に開花する)から雪が降る季節まで咲き続くので、この名がついたといいます。 なお、花は一日花で夕刻には凋みます。

 

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2009年6月29日 (月)

スズカケソウ(珍草に出会う)

Photo 大阪近郊の水路で、トラノオスズカケが毎年美しい花を咲かせるのを観察し続けてきたが、その中に葉茎にビロード状の軟毛が密生するものが混じっているのを発見し、花の咲くのを待つわびていたところ、トラノヲスズカケより1か月以上も早く開花、その花を見て近縁のスズカケソウであることを確認した。

絶滅危惧ⅠA類(CR)指定の珍草である。                                              Photo_2                                                

和漢三才図会(江戸時代初期刊行)に既に記載があり、牧野富太郎博士の植物図鑑(旧版)では、「阿波祖谷に自生がありというが、はたして信乎」と言われて、明治時代以降幻の野草とされていたらしいが、1,989年に徳島県貞光町の川の側のやや暗い斜面で発見され、ほぼ野生種と確認されたほか、岐阜県・鳥取県からも報告されているものの、自生種かどうか疑問視されていると言う。(今でも中国から渡来した栽培種が逸脱したという説が根強いようだ)

今回ご報告する場所は、茨木市宇野辺の民家で、前を流れる用水路の石垣の間から数株立ち上がって花を咲かせているが、同じ場所に生えるトラノオスズカケの一部がプランターで栽培されている所をみると、同時に入手して栽培されていたものが、逃げ出したものと推定せざるを得ない。

クワガタソウ属(ベロニカ属)の近縁種らしく、吸い込まれるような青紫色の花色が魅力的で、山伏の装束「鈴懸け」に由来するという花序が葉腋に連なって、独特の雰囲気を醸し出している。

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2009年6月 8日 (月)

キクガラクサ(玩物喪志か道楽か)

Photo 本名キクガラクサ、別名をボロギクと言うそうですが、共にこの可愛い小花に相応しい名前とは言い難いと思っています。

ゴマノハグサ科キクガラクサ属に分類されていますが、キクガラクサ科をたてる意見もあるようですね。

環境庁の絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されている1属1種の植物なので、一度は野生の状態で出会いたいと思い、分布の中心とみられる岡山や四国野山を歩く都度気を付けておりますが、なかなか出会えぬ幻の花でした。 偶々インターネットを検索していて、京都南部で70年ぶりに発見されたことを知り、次いで3年前に大本教花明山植物園で対面することができました。京都府自然環境目録・京都植物に光田重幸・村田源氏と並んで当植物園長の津軽俊介氏の名前が記載されていることから推して、70年ぶりに発見されたものが株分けして栽培されているのだろうかと勝手に想像しております。

結構気難しい植物のようで、京都植物園でも栽培されていますが、未だ花を見たことはありませんが、大本教植物園(6月2日)では、見事に花を咲かせておりました。

こんな小花に血の道をあげて追っ掛けるのは「玩物喪志」の誹りを免れまいと自覚はしつつも、人畜無害の道楽として、これに優る楽しみはあるまいと自画自賛している次第です。

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2009年6月 1日 (月)

コゴメバオトギリ(高速道路のインターに咲く花 その2)

Photo 高速道路周辺のの帰化植物の勢力争いは過酷で、その栄枯盛衰の激しさには驚かされますが、この中にあって、最近急激に勢力を伸ばしているのがこのコゴメバオトギリソウです。

10年程前までは、道路沿いの日溜まりにポツポツを咲いている可憐な花として出会いを楽しんでいましたのに、あれよあれよと言う間に蔓延し、今日、この花を撮影した名神高速道路の吹田インター辺りでは肩道を黄金色に染めんばかりの勢いでした。 

3月頃に初花を咲かせ、11月頃まで延々と咲き続く逞しさにも驚かされます。                             Photo_2

欧米でセントジョーンズ・ワートと呼ばれるセイヨウトトギリソウの変種で、ヨーロッパ原産の植物ですが、今ではユーラシア大陸の温暖帯に広く勢力を拡大し、北アメリカにも帰化して牧場の強害雑草となつていると聞きます。我が国へは1934年に渡来、漸次勢力を広げて霧ヶ峰草原にまで進出していると言う記事を目にしたことがあります。

性質が強壮なだけあつて、薬効も顕著で、ギリシャ・ローマ時代から、深い矢傷・刀傷の治療薬として重用されてきましたが、最近ドイツ始め欧米の各国で、副作用のない抗鬱剤として需要が急増する一方で、全草から抽出するエキスに美肌効果・育毛効果があるとして、化粧品・乳液・アフターシェーブローションなどに添加されているようです。しかし、多用すれば感光性の皮膚炎(皮膚癌)を誘発する危険性があると言うから、素人療法は禁物だそうです。

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2009年5月31日 (日)

ナベワリ(花のネーミングは難しい)

Photo 貴方は、山道で珍しい花の在り処を知っていて、通り掛りの同好の士に、それを教える方ですか、それとも教えない方でしょうか・・・、以前に、教えた人に盗掘された苦い経験があるものですから、私の気持は微妙です。

しかし、こののナベワリは、親切に教えて貰わなかったら、金剛山に生息していることすら知らなかったことでしょう。

それはある渓への分岐点の道標の裏に隠れるようにして、小さな群落をなし、ナルコユリかアマドコロに似た葉の腋から、長い花柄を伸ばし、あの特異な花を咲かせ始めたばかりでした。 4枚の花被片は淡緑色で、そのうちの1枚だけPhoto_3 が大きいという非対称形、花を裏を返せば朱赤色の鮮やかな花芯(雄しべと雌しべの塊)が目に飛び込んできます。ナベワリ属は日本に2種、北アメリカに1種しかない小さな属だと聞きました。

ナベワリという和名は、舐めると舌が割れるほど強烈な毒を持っているので「舐め割り」と名付けたものが、いつの間にか訛って「ネベワリ」なったという説で統一された感がありますが、多くの地名伝説と同じで、少し眉唾臭い。 和名について常に一家言のある牧野富太郎博士の植物大図鑑も同じ説を採っているのを見て「博士、貴方も・・・」と言いたくなりました。

花のネーミングは難しい。このナベワリにもヨシノシズカ(吉野静)という良い別名があるらしいのに、普及していないところを見れば、世の中必ずしも「良貨が悪貨を駆逐する?」とは限らないようですね。

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2009年5月30日 (土)

トガリバツメクサ(高速道路のインターに咲く花)

Photo 関心の範囲は在来の山野草だけで、帰化植物は見向きもしないと言う人でない限り、都市近郊は、新しい植物との出会いを楽しむことができる貴重なフィールドですが、つい最近、名神高速道路の吹田インターに近畿自動車道が合流する辺りの高架下で、一つの新しい帰化植物の群落を発見しました。

原色日本帰化植物図鑑によって

①エノコログサに似た穂状の花序と細長く突き出す淡紅色の旗弁                                                Photo_2                                                   

②学名の由来となった、細く先の尖った3小葉からなる特徴ある葉(托葉は下部3分の2が葉柄と合着して茎を取り巻く)

からして、地中海沿岸地方原産のトガリバツメクサと推定し、念のためにインターネットを検索したところ、驚いたことに1953年に三重県の津市で発見されたと言う古い履歴を持つ種だと言うのに、画像のデータがありません。

写真で見る通りの特異な花穂を持ち、1か所に1000株を超える大きな群落を作っている生息状況からして、目立たない筈はないと思うのに、データが少ないのはなぜでしょうか。  お教えください。  

学名 Trifolium angustifolium(幅の狭い葉を持つ) L

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2009年5月28日 (木)

アサザ(汚水の中のアサザ)

Photo_3 5月27日、定点観察をしている大正川の堤を歩いて、今年もアサザが無事に花を咲かせてことを確認した。

アサザは湖沼の水質汚染と冨栄養化によって、急激に日本列島から姿を消しているということで環境省が絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定している植物だが、不思議なことに、万博公園を水源として吹田・茨木・摂津3市の住宅密集地を通って淀川に合流する大正川には、十数か所に亘って点々と小群落を作って生息している。      Photo_5

元々、当地の湖沼に自生していたわけではなくて、万博公園辺りに植栽されていたものが逃げ出した公算が大きいが、私が観察し始めてからでも20年余、生活排水が容赦なく流れ込み、川底に汚泥がたまったこの川のなかで、「泥中のハス」ならぬ「汚水の中のアサザ」として生き続け、むしろ株数を増やしているところを見れば、アサザは汚染や富栄養化には強い植物で、衰退の原因は他にあるのではないかと疑いたくなる。

大正川の流域は、万博を機に一挙に開発され、田畑を失っているので、生活用水は大量に流れ込む反面、農薬が流れ込むことは少ないことから推して、「アサザ衰退の原因は農薬にある」と結論付けるのは早計に過ぎるだろうか。  識者のご意見を伺いたい。

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2009年3月22日 (日)

シロバナネコノメソウ(ネコノメソウ属切っての美形)

Photo

サラリーマン生活を卒業したのち数年間、兵庫・岡山の県境の佐用町に仲間と共同で晴耕雨読の拠点を持っていたが、この辺りは、植物分布の面で特異な種の多い「阿哲地区植物群」の東端にあたり、それに加えて山陰の「日本海性植物」・「瀬戸内海性植物」が混在しているので、春夏秋冬珍しい植物に囲まれて、花ウオッチャーとしては、またとない環境の中で至福の時を過ごすことができたことを懐かしく思い出される。

春の雪が消えた山裾の樹下でカタクリやショウジョウバカマなど少し大形の花に先駆けて咲くのがヤマエンゴサク・ジロボウエンゴサクなどスプリング・エフェメラルと呼ばれる可憐な花達だが、それらと競うように咲くネコノメソウ属切っての美形シロバナネコノメソウの開花を待ちわびたものだった。                 Photo_2

小さい掌のような葉の間から短い花茎をもたげ、白い蕾が綻びて中から真っ赤な雄蕊の葯が覗く瞬間は何度見ても新鮮で、地元の人々をご案内して感動をお裾分けしたりして楽しんだ。 

中部・関東の山でハナネコノメソウを見慣れていたが、シロバナネコノメソウは全体が大きくて軟毛が多い点で区別できると地元の方に教えていただいたが、正直なとこと両者の違いはよく解らない。

ハナネコノメソウが近畿以東に分布し、シロバナネコノメソウは中国地方と四国・九州本拠があって棲み分けているらしいが、近畿地方には両者が混在しているようにも思える。  どなたかお教えくださいませんか。 

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2009年3月21日 (土)

レンプクソウ(サイコロ型の花序を持つ花)

Photo この不思議な花序を持つ花に出会ったのは上高地の徳澤だった。

草丈僅か10cm、緑の葉の間から細い花茎をだして、その先端に一辺が7~8mmの正六面体(サイコロ型)を載せたような特異な花序をつけ、5個の花を咲かせるが、登山路を歩いていてもよほど神経を集中していないと見逃してしまうことだろう。

教えてくださった花の先輩の「十一面観音ならぬ五面の観音さんだな・・・」と言う下手な駄洒落が記憶に残っている。

地味ではあるが、仔細に見れば見るほど面白い花で、葉の間から伸び出したサイコロ型の花序の頂上の花が先ず開き、続いて前後左右の4つの合弁花が開くが、頂上の花は花弁が4裂して雄しべが8本なのに、あとの4つの花は花弁が5裂して10本の雄しべを持っている、雄花と雌花の区別があるのだろうかとも思って観察して見るが、そうでもないらしい。                 Photo_3                 

図鑑類では、スイカズラ科のニワトコ属に近い1科1属1種の植物で、北半球の温帯に広く分布するとされており、中部地方以北の登山路の路傍でしばしば見ることができるが、近畿地方では京都植物園にあるだけで、野生状態では未だ出会ったことがない。

なお、ヨーロッパに分布するものは n=36 で、日本型は n=45・54 だという。

                 

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